二周年だしダンス・マカブルの裏話でも | 雑文

二周年だしダンス・マカブルの裏話でも

2016.10.14

ここの更新もかなりお久しぶりになって申し訳ないばかりです。

さて、発表して二年、小説も出て一年が経ちましたし、そろそろダンス・マカブルでもにゃもにゃっと曖昧にしていたところの話でもしてしまおうかなと。
別に裏設定とかそういうものではなく、参考文献などで見当ついていた方もいるんじゃないかなという話しですが。
つまり、このゲームの舞台の話です。

これは、いつ、どこの話か。

つまるところ、何世紀とか国とかいう大きな区切りではなく、かなり明確に舞台は設定されているというお話です。
もったいぶる必要はないので明かせば、ダンス・マカブルは1720年夏、フランス・プロヴァンス/マルセイユ近辺の村で起きた物語です。
マルセイユから徒歩一日程度を念頭に置いているので、マノスク近辺の丘陵地帯の村でしょうね。

史実としては、マルセイユの大ペスト禍が背景となります。日本語で詳しいページが見当たらないので、英語ですが。
Great Plague of Marseille

小道具などの関係で中世の話だと思われている感想もあるようですけれど、時代的には近世・フランス革命前夜ですね。ユグノーの反乱が一息つくも、いまだ大きな影を残している時代となります。まあ、その辺りはゲーム上ではあんまり関係ないです。

旅立ちエンドの二人がThe “mur de la peste”の検疫をどう乗り越えたかとか考えてみるとなかなか面白いかと。

あともう一つ明かしておくと、とある重要アイテムの話。
印象深い衣裳チェンジがなされる「白い服」のこと。
状況と現在の風習からして、あれ、婚礼衣装と自然に解釈されてますが、ぶっちゃけミスリードです。
あれはウェディングドレスではなく、登場人物たちもそうとは認識していません。
元よりウェディングドレスが白とされるようになったのは諸説ありますが、一般的には18世紀後半辺りからの流行だとされています。基本的には多色の民族衣装だったはず。特に庶民は。
では、それ以前に白をまとうのはどのような時だったのか。
正直服飾史は詳しくないので結構資料探しに苦労しましたが、こちらを見つけて、一応裏付けはとれたかな、と。

ピエール・ゴベール「白い喪服のブルボン・コンデ公妃」

まあ庶民にまで行き渡る感覚だったかは疑問なところですが。地域によっても大きく変わってくるしなあ。
とはいえ白が基本という訳でもなく、黒もやっぱり使われてたみたいだし。というか白と黒ならありっぽくて、しましまのゼブラ柄の奴も見つけたりしました。
服飾史ってすぐ流行変わるから難しい。

難しいといえば、歴史ものだとお金の単位の扱いも本当訳が分からんですね。
一応調べたんですけど、フランが既に使われてたって話もあればスゥという話もあり。それ以下の貨幣の名称や交換レートなんてぐちゃぐちゃ。当時の人の書いた文書なんでその人にとっては使われてたんだろうけど……。結局のところ強い国家が発足するまではお金の単位なんてあってないようなもんだし、発足したらしたでころころ変えたりするし。
その辺りだけは扱いたくないなあと思う次第。なるべく避けるか、ここはこれでいくって割り切るしかないですね。