王者舘
ショウネンオウジャカン

それいゆ

観劇日 2003.09.07夜&12夜 名古屋 七ツ寺共同スタジオ
    2003.09.21昼 東京 中野・ザ・ポケット

作・演出:天野天街

++CAST++
 正太郎………夕沈
 へいたろう…岩木淳子(ジャブジャブサーキット)
 たろう………眞藤ヒロシ
 日御子………石丸だいこ
 ひまわり……白鴎文子

 一郎…………水谷ノブ
 タツヤ………蓮子正和
 ヒカゲ………イワヲ(流山児★事務所)
 ヒゲさん……川合喜之
 ノボル………サカエミホ
 獅子…………篠田エイジ

 幸枝…………田村愛
 史枝…………黒宮万里
 ひな…………雪港
 ヒバリ………西杢比野茉実
 ヒカル………松久聖子
 ホタル………元木宏美

 夕目…………山本亜手子
 次郎…………日与津十子
 ひなた………丹羽純子

 松島トモ子…ジル豆田(てんぷくプロ)

 吉田…………虎馬鯨

 しょうたろう…井村昂

++STAFF++
 舞台美術…水谷雄司
 照明………小木曽千倉
 音響………戸崎数子
 映像………浜嶋将裕/大月未知也
 舞台監督…蓮子正和
 衣装………田村英子
 作曲………長谷川久/珠水
 編曲………戸崎数子
 小道具……丹羽純子/田村愛
 制作………篠田エイジ/PECO

 少年王者舘本公演vol.28。

◆好きなシーン

 「メンキ」歌いながら行進。
 鉄人出現で皆が跳ねるのが上手くて良かった。
 説教の音楽と明かり。
 梯子は力業だなあ。 見つかったのに気付いた二人のきょときょとおどおどした表情が良い。
 動け動け動け動け動け良かった!

(2003.09.12記す)

◆芯

 「コンデンス」で初見の自分は当然初演は観ていない訳で。そして台本と写 真だけで色々想像していた訳で。
  で、正直、台本は大変読みにくかった訳で。最初は当たり前として、王者舘にもだいぶ慣れてきたかなあと思った後でもやっぱり読みにくかった訳で。
 でもそれは単なる想像力の限界なので、舞台になっているところを観ればすんなり入るだろうと思っていましたが。
 実際、舞台を観て読みにくかった訳がすごく良く分かりました。
 芯となるところが分かりにくいんだ、と。
 人でも物でもひとつ真ん中にずっとあった方が自分には納まりが良いんですな。それいゆは目まぐるしいから。 時間は露骨に繰り返してるんだけど、あまり繰り返しているという印象がない。ざーっとすごいスピードで流れた感じ。
 大抵キーシーンがあると思うのですが、一応岬の突端がそうなのでしょうが、あまり視覚的にパッキリしたシーンではないので、「来た!」と思えなかったこともあり。
 後は、鋭いイメージを持つ役者さんが減ったこともあるのかな。でも今回は水谷さんがいるから、香ル港の方がいなかったような気も。これもやはり本のせいが大きいか。
 後書きに書いてあったように情緒を抜いたところとか、あてがきをあまりしてないとか、そんなところの情報から推察するに、それはわざとそうした作り方をしていると思うので、結局は個人の好みになるのでしょう。
 あ、最近入手した「マバタキノ棺」の台本は読みやすかったです。そのことオマケに書こうとしてまだ書いてない。

(2003.09.12記す)

◆色々と気になったこととか

 エロ関係の台詞が抜いてありましたね。なぜ。
 初演と同じ役をやっているのは、夕沈さん、篠田さん、山本さん、水谷さん、ジルさんの五人か。
 ジルさんの松島トモ子は想像通り強烈でした。ええとも。
 篠田さんの海パンは基本的に視覚的に反則だと思います。
 篠田さんといい、夕沈さんといい、舞台上で寝ているのも大変だと思った。篠田さんは踏まれそうだし、夕沈さんはフットライトずっと浴びてるし。
 踏まれるといえば、名古屋楽で丹羽さんが水谷さんに指踏まれてて本気で痛そうでしたとも。
 岩木さんの少年は、ジャブジャブのイメージもあってか、どこか強かなイメージを抱きました。ぐれる→もてるの辺りが好きだ。「ほっほっほぉっ」って笑い方が大好きだ。でも髪の毛すごく短くなってて最初びっくりした(ナビ観てないから前から短くなってたのかもしれないが)。
 眞藤さんの細かい演技が楽しい。でも中村さん位置(ドレスは着るのか?と思ってたが着ましたな)よりも、去年のようにもうちょっと超越者の位 置にいた方が合ってる気がするな。余裕のある役の方が。

(2003.09.12記す)

◆アツイ

 書いても詮無きことと知りながら、どうにも今回ひどかったと思うので。
 もうちょっと、ちょっとだけ観劇環境が良くなってくれたら、人にも勧めやすいのだが、と思う。
 今回は特にひどい残暑でどうしようもなかったと思うし、来てくれた人を出来る限り詰め込む気持ちもとても分かる(というか、自分としてもたくさんの人に見てほしい)。 環境的に空調が良くないのも仕方ない。手はないとは思う。
 でも本当下手すると脱水症状起こしそうな状況はやっぱりどうかと……。体力ない人は行けないよ。実際、一緒に行く予定だった人が体調悪めだったので今回パスした。自分は最初から暑いのは予想折込済みなので、体温調節しやすい服で行ったけど、身内っぽい人とか、お仕事っぽい人とか、慣れてない人は平気だったろうか。
 ふかふかの椅子で足を組んで見たいとは言わないので。なんとかもう少し、というのが正直な気持ち。

 結局のところ七ツの限界ではないだろうか。
 とはいっても、名古屋にゃその次の段階の劇場がないんだよね。県芸の小ホールとかになっちゃう。
 キャパ150-200くらいで、ちょうど良い尺で、七ツほどの自由は望めなくとも公共ほど縛りがきつくないところがあればなあと、きっと実際芝居に携わっている人はもっと切実なんだろうな、この辺。
 それかロングランか。けれどやる方の気力体力、そして生活に大打撃だよなあ。単なる一観客の自分は嬉しいが。やりたいというお言葉に期待を託す。

(2003.09.17記す)

◆とうきょう

 維新派やら他に諸々の用事やらがあって東京に行かなくてはいけなかったので、王者舘もセットにして観てきました。運悪く激しく雨。ちょっと前までは晴れ予報だったのに。関係ないけど、維新派の公演直前に地震にぶつかって劇場ごとギシギシいってちょっとおののいた。
 初体験の中野・ザ・ポケットは快適だよ! ちゃんとした椅子あるよ! 冷房効いてるよ!(って気温も低かったけど) でも七つの方が一体感。一長一短だなあ。
 さてお芝居は。
 今回の公演で初めて震えきた(最初のメンキ行進のシーンで)。どういうシーンが来るかは分かっているのに、今回だけきたってことは何か違ってたんだろうなあ。だから芝居は面 白い。
 でも基本的にあんま「それいゆ」好きじゃないと感じたのは何故かというのも今回観て分かってしまって、個人的な話だけれど、シーンの挿入とか暗転とか曲のタイミングとか話の緩急の付け方とか、そういう要素のが生理的に気持ちよいところにない場合が多かったところによるみたい。違和感を感じることが多かったといいますか。使われているモチーフ(言語? スイカワライとかミタラシとかペラペラとか)がいまいちしっくり結びつかなかったこともあり。 ショウドクエキは好き。
 ちなみに暗転やシーン挿入のタイミングが一番気持ちよかったのはコンデンスかなあ。ビデオ入れてもよいなら、次がパウダア。あ、これってマバタキの暗転が作品中で明示されてるな、両方。

 なんかぐだぐだ言ってますが、良いとか良くないとかいう基準はあくまで「王者舘の芝居」の中での比較なので、他のところの芝居は含めてないです。そうでなければ何度も観にいったりしないです。

 山本さんの髪が短くなってたのにちょっと驚いたというのを書き忘れた。公演中でも大胆に短くするんだ。

(2003.09.22記す)

◆よしなしごと

 明日の高知で「それいゆ」も終了ですね。
 なんだか自分がまったく知らない土地であの世界が立ち上がっては消えていくことを考えると、ちょっと面 白い。
 ところで「それいゆ」の中で一番こびりついている言葉は「いくおくちょうもヒトはイク」 となりました。理由は不明。
 あ、あと上で書き忘れていたが、ミルクのみ人間篠田さんの山本さんを見るあの表情も忘れられません。
 そして衝撃だったのでここに記してしまいますが、一緒に見に行った羅伊紀さんは、私のこのレポを読むまで、題名を「それいけ」と認識して疑っていなかったそうです。……だめじゃん。

(2003.10.04記す)

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