さて後編。
製作者として「あまり良くないなあ」と思っていること。
でもどうしようもないこと。
それは「実況によって一気にもてはやされすぎる」という現象です。特に初めての作品なら尚更。
うっかり有名実況者に取り上げられようものなら、一気に注目される訳です。
それの何が悪いんだよ、と思う人もいるだろうし、それを目指してるんだ、という人もきっと少なくないんだろうと思います。
その時はいいんです。
たくさんの人が自分のゲームについて語ってくれたりして、DL数も伸びて、作って良かったって嬉しい気持ちでいっぱいでしょう。
そこで「あー幸せだった。もう作らなくていいや」となったり、特に大ヒット作品だとプレッシャーや色々なトラブルで作れなくなってしまい、それだけで終わってしまうというパターンが多いってのも残念ではあります。
でもそれ以上に心配なのが、きちんと次の作品を作り上げられた場合のこと。
それが同じように実況者に取り扱ってもらえるとは限らない、という部分です。
前編で書いた通りバブルは弾けてますし、供給は溢れんばかり。実況界隈の時流の問題もあって、もはや確実ではないんですよね。次は実況受けしないジャンルに挑戦したりすることもある。
そうなると、いきなりDL数は落ちる。思ったような反応はない。もちろん前回のことでファンは獲得してるでしょうが、それにしてもあまりの落差です。
「あれは自分の力じゃなかったんだ」と気づいた時、モチベーションは多分がっつり落ちます。
それを取り戻すのは結構難しいです。
元々、創作活動において、高すぎる自己評価と悲惨な結果からくる落胆って、初期に必ず経験するといっていいものなんですよね。
だから別のところでそれを経験済みの人は、また頑張れるかもしれない。
でもこれが初めてだったら? 華やかな結果を最初に味わってしまったら? 無理かもしれない。
もちろん実況出現前でも、メディアなんかによっていきなり分不相応に持ち上げられてちやほやされるってことはいくらでもありました。
でもそれは「自分のゲームが評価されている」という点では間違いなかったんですよ。
だから次は思ったようにいかなくても、最初の華やかな結果が否定されることはない。そこが大きな違いです。
「実況」というものがある世界は大きなチャンスでもあるけれど、厳しくもあるなと感じます。
足下に土を詰んで塗り固めて、一歩一歩進める階段を作っていくのが理想的なのに、一気に高いところまで持ち上げられて降りる手段がない感覚。
見ていてはらはらします。
自分についていえば、実況が出現した時には既に「マヨヒガ」「オシチヤ」は十分な評価をいただいていましたし、実況向けじゃない「かもかて」がありがたくも多大なご支持をいただいていたという背景があったので、あまり心乱されずには済んでます。やっぱり「かもかて」みたいなのを抱えているっていうのは精神安定にはでかいですよ。実況のプラス面の恩恵を素直に受け入れられます。
でも実況向けじゃないジャンルをメインにしている人とかは複雑だし面白くないだろうなあ、とも。
正直、解決策は見当たらないです。もう少しフラットに出来ればいいのにね。
そんなこんなで、どうしようもない話でした。
たくさんの製作者さんが増えて、そして二作目、三作目と重ねて作っていってほしいのです。
それがフリーゲーム界にとって何よりのことなんですから。