ダンス・マカブルおまけ話 | 雑文

ダンス・マカブルおまけ話

2015.10.12

そんなこんなで、ダンマカを公開してから一年が経ちました。
特に何かがある訳ではないのですが、せっかくですから元ネタ話でもしようかなあと。
とはいえ、大体皆さん分かってらっしゃいますし、物語の具体的な年月や舞台の場所、あるアイテムのことなど、一部は小説で補完していただいたり、その後書きで触れてしまったので、それ以外の分かりにくいやつにしましょう。

ということで、検索しても日本語で書かれたページはないわ、英語で検索しても小説の書名の方が大量に引っかかってしまうわ、更に最近出た洋ゲーでどうも敵として登場したらしく、更に検索の深層へといってしまった「the plague maiden」さんのお話です。
これ、資料の中でも「ウィーンペスト年代記」に一節書かれただけで他のものには見当たらず、ひょっとして作者の創作かもしれないので裏を取りたかったのですが、英語でどう称されるかも不明だったので、それっぽい訳語で当たりをつけてどうにかドイツ語のページを発見した後、ようやく英語で触れられているサイトにたどり着きました。

「疫病の乙女」は以下のような伝承です。

Many commoners believed in a legendary witch called the plague maiden. She was very beautiful and carried around a red scarf. It was said that she travelled from village to village, passing by each house waving her red scarf in front of a house’s window or door. This house would become plague-infested. A legend told that a brave young man waited all night for the witch to arrive, and when she did he cut her hand off with a sword. It was said that he was the last to die of the plague in his village.

The Black Plague – All Empires

非常に簡単な英文なので特に訳は必要ないかなと思うのですが、いちいち読むのも面倒だと思うので一応訳しておきますと。

「疫病の乙女」と呼ばれる伝説の魔女のことは、多くの人が信じていた。赤いスカーフをいつも持ち歩く美しい乙女である。彼女は村から村へと旅をし、その赤いスカーフで通りすがりの家の戸や窓を撫でていくという。すると、その家に疫病が発生するのだ。
勇敢な若い男が夜を通して彼女の到着を待ち、その手を剣で切り落としたという伝説がある。その村では彼が疫病で死んだ最後の人間となったという。

多分ドイツとその周辺で語られている伝説なんじゃないかと思うのですが、スカンジナビアでも信じられていたみたいだから、結構範囲広いのかな。

There were also those who believed in demonic dogs, and in Scandinavia, the superstition of the Pest Maiden was popular.

The Black Death – What You Need to Know about the 14th-Century Plague

これさっき見つけたのですが、なんともまた悪魔の犬と乙女という組み合わせ。
繋がる時はこうやって運命のように繋がっていきます。

ダンマカでは色々と勉強させてもらいました。
不勉強な身なので、新たな発見がたくさんあって楽しかったです。
逆十字はアンチキリストじゃなくて、むしろ謙虚を示す信仰のシンボルとか知らなかったわ……。

あと訳が分からなかった当時のフランスのぐだぐだ具合の一端をようやく掴んだりとか。
小説の監修の際に調べた辺りは、もちろんゲームには間に合わなかったのですが、入れても面白かったかなあとか。でも無駄に複雑にするだけだからやっぱ今ぐらいがベストか。
つい最近知った「ミシシッピバブル」とかどんぴしゃだったのか……とか。でもこんなの取り入れられる訳ないな。カオスの極みだ。

いやあ、面白いですね、歴史ってやつは。