「維新派」の松本雄吉さん逝去
2016.06.19
お久しぶりの更新です。
何かお知らせできればいいなと思いつつ、なかなかそうもいかない感じでご無沙汰です。そのうち。
と思っているうちにまとめて書くこともたいしてなく放置中でした。
そんな中、つい先ほど表題のことを知り、かなりの衝撃で朦朧としているところです。いやそんなまさか永遠とは思ってなかったけど、最近まで精力的に活動されててばりばり現役だったんですよ。
去年行けなかったんだけど、また機会を見て行こうと思ってたんですよ。あと十数年は少なくとも機会があると思ってたんですよ。
まさかそんな。
早すぎる。
ひどい。
自分が維新派のファンかと言えば、正直そんな熱心でもないしそうでもないなと思ってたけど、でもやっぱり大事な一部ではあったんだなと思う。つらい。
もう二度とあの空間は体験できないのか。
そりゃもちろん残された方々がきっと何らかの形で残していくのだろうけど、それはやっぱり違うもので。
何なんだこれ。
どうしたらいいんだ。
どうもできないけど。
「デンシャ」は広言している通り王者舘(王者舘と維新派は合同公演やったぐらいに親しい)のオマージュなんだけど、ばあちゃんの幼少期については、維新派の20世紀三部作#3の影響を確実に受けています。
あの時代、アジアに、南洋に生きた人達。
この芝居がなかったらデンシャもなかったことでしょう。
ありがとうございました。可能であるなら、また、どこかで。
「パレドゥレーヌ」スタッフさん達の新作だそうで
2016.01.08
Twitterの小窓の方ではご挨拶いたしましたが、あらためてあけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
何かするよ。多分ね。
それで表題ですが、パレドゥレーヌのスタッフさん達が独立して新会社を作り、新作を企画しているそうですよー。
【メカダンジョンRPG】ACE STRIKERS制作プロジェクト【この主人公自由すぎるッ】
以前雑文に書きましたが、パレドゥレーヌはかなり楽しませてもらったゲームです。
ゲーム部分の造りが本格的で丁寧&キャラや世界は王道と見せかけてかなり突拍子もなかったりして、なかなか手強い。
手前味噌ですが、かもかて好きな人にはかなり親和性があるんじゃないかなーと。
そんなスタッフさん達ががっつり分岐した自由なものを作るよと宣言してるので期待大です。
ADVでもシミュでもなく、メカダンジョンRPGだそうなんで、ジャンル的にはちょっと外れますが。でも獣人はいる。
んで、企画開始にあたって、クラウドファンディングによる資金集めをされてるそうです。
一口いかがですか。ゲーム自体は五千円投資で限定版が送られてきます。十万円とかつぎ込めば、各種ネーミングライツも得られるという。
達成額に満たなかったり、企画が頓挫した場合は返金されるのでその辺りは安心です。
まあ、思った通りのものが作られるかどうか自体は賭けなんですが、あくまで支援するっていうことですしね。
興味のある方ぜひ。私も一口入れておきました。
しかし何で会社名ニンジャラビット……ニンジャナンデ……。
フリーゲームのご紹介
2015.11.03
久しぶりにあらゆる面で隙がないなという作品に出会ったので、ご紹介。
ジャンルは「サイコアドベンチャー」ということですが、形としては基本的なドット謎解きADVです。
グラフィックも音楽もシステムも謎解きも非常に高いレベルでまとまってます。
特に謎解きのバランス設定がかなり秀逸で、まあ仕組み自体は見たことあるパターンが多いのですが、一ひねりしてあるところもあって、あんまり「またこれか」感はない。何より雰囲気を壊さないよう気を遣ってるなあと感じさせます。
シャンソン調の音楽いいよね。
この祝日にいかがでしょうか。損はしないと思うよ。(以下ネタバレ的な部分を含むのでプレイ後にお読みください)
ただ、一点だけ気になるところがあるといえば。
お行儀良くまとまりすぎちゃってるのが惜しいかなとも思う。いや、これは本当にレベル高いから逆に感じてしまうことなのですが。
いわゆる「ダークファンタジー」の枠・文法に綺麗に収まりすぎちゃってるかな、と(メタ部分も含めて)。
何か一個だけ歪に突き抜けていると、もっと鮮烈だったかもしれない。
例に出すとIbはギャリーが普通の男性だったり少年だったりしたら、多分あそこまで人気は出てなかっただろうし。「The PATH」は徹底的に説明しないことでプレイヤーを突き放してるし。映画「パンズ・ラビリンス」はスペイン内戦っていう本気でえぐい背景・現実パートがあるからこそ、幻想世界のグロさが担保されて対比になってる。
「組織」がその歪んだ部分になるのかなと期待してたけど、どうもフレーバーのまま終わってしまった。メタもね。人のことは言えた義理ではないけどね。楽しいよねメタ。擦れてるからその辺りの仕掛けで特に動揺しなかったのも良くないね。擦れるって悲しいね。
ともあれ、好きなシーンは覗くお母さんです。
あそこ本当うまい。うざい。
ああいうのって、うっかり過剰な台詞で説明させてしまうケースが多いのですが、きっちり絵で見せてきて素晴らしかった。
精神世界のビジュアル面より、ああいう現実寄りのサイコな怖さがもっと見たいかもしれない。
これだけのものだから多分一気に話題になるんじゃないかなーと思うけど。
次の作品も見られたらいいなと思います。
面白かった。
ダンス・マカブルおまけ話
2015.10.12
そんなこんなで、ダンマカを公開してから一年が経ちました。
特に何かがある訳ではないのですが、せっかくですから元ネタ話でもしようかなあと。
とはいえ、大体皆さん分かってらっしゃいますし、物語の具体的な年月や舞台の場所、あるアイテムのことなど、一部は小説で補完していただいたり、その後書きで触れてしまったので、それ以外の分かりにくいやつにしましょう。
ということで、検索しても日本語で書かれたページはないわ、英語で検索しても小説の書名の方が大量に引っかかってしまうわ、更に最近出た洋ゲーでどうも敵として登場したらしく、更に検索の深層へといってしまった「the plague maiden」さんのお話です。
これ、資料の中でも「ウィーンペスト年代記」に一節書かれただけで他のものには見当たらず、ひょっとして作者の創作かもしれないので裏を取りたかったのですが、英語でどう称されるかも不明だったので、それっぽい訳語で当たりをつけてどうにかドイツ語のページを発見した後、ようやく英語で触れられているサイトにたどり着きました。
「疫病の乙女」は以下のような伝承です。
Many commoners believed in a legendary witch called the plague maiden. She was very beautiful and carried around a red scarf. It was said that she travelled from village to village, passing by each house waving her red scarf in front of a house’s window or door. This house would become plague-infested. A legend told that a brave young man waited all night for the witch to arrive, and when she did he cut her hand off with a sword. It was said that he was the last to die of the plague in his village.
非常に簡単な英文なので特に訳は必要ないかなと思うのですが、いちいち読むのも面倒だと思うので一応訳しておきますと。
「疫病の乙女」と呼ばれる伝説の魔女のことは、多くの人が信じていた。赤いスカーフをいつも持ち歩く美しい乙女である。彼女は村から村へと旅をし、その赤いスカーフで通りすがりの家の戸や窓を撫でていくという。すると、その家に疫病が発生するのだ。
勇敢な若い男が夜を通して彼女の到着を待ち、その手を剣で切り落としたという伝説がある。その村では彼が疫病で死んだ最後の人間となったという。
多分ドイツとその周辺で語られている伝説なんじゃないかと思うのですが、スカンジナビアでも信じられていたみたいだから、結構範囲広いのかな。
There were also those who believed in demonic dogs, and in Scandinavia, the superstition of the Pest Maiden was popular.
The Black Death – What You Need to Know about the 14th-Century Plague
これさっき見つけたのですが、なんともまた悪魔の犬と乙女という組み合わせ。
繋がる時はこうやって運命のように繋がっていきます。
ダンマカでは色々と勉強させてもらいました。
不勉強な身なので、新たな発見がたくさんあって楽しかったです。
逆十字はアンチキリストじゃなくて、むしろ謙虚を示す信仰のシンボルとか知らなかったわ……。
あと訳が分からなかった当時のフランスのぐだぐだ具合の一端をようやく掴んだりとか。
小説の監修の際に調べた辺りは、もちろんゲームには間に合わなかったのですが、入れても面白かったかなあとか。でも無駄に複雑にするだけだからやっぱ今ぐらいがベストか。
つい最近知った「ミシシッピバブル」とかどんぴしゃだったのか……とか。でもこんなの取り入れられる訳ないな。カオスの極みだ。
いやあ、面白いですね、歴史ってやつは。