第一章後書き&第二章予告のようなもの
■さて、約一年半かかりましたが、何とか一章終わりました。
読んでいただいた方にお礼申し上げます。
まあ何ていうか、テイスト的にはマイナー漫画雑誌の、特に人気もないが消えもしない作品の雰囲気。
自分はそういうポジションの作品って、実は結構好きだったりしますが。
■当然のことながら、かの二人は最初っからこうなることは決まってて。
一歩間違えれば、拉致とか残留とか充分ありえましたが、こんなところに落ち着きました。
そのうち煮え詰まってきます。お楽しみに。こんな感じか(YouTubeに飛ぶので動画注意)。
■色々ざくざく省きました。それでもやっぱり最終話は長いな。
今回の事変の後始末関係とか、もらいもののエピソードは二章回しで。
全然服とか決める気配もなかったシードが、舞踏会直前にばーんと衣裳部屋にやってくるや否や、適当に即決してごく当たり前に着込んでばーんと去っていき、ああ、腐っても貴族育ち一応慣れてるのね、というエピソードは、回せないのでここに書いてみる。
■最後の辺りのシードの感情曲線を考える。
一気に滑り落ちたので、閾値突破したらしい。馬鹿です。
■二章は、ホリーラでほとんどの話が展開します。名前だけちょろっと出てきたくらいの、シード父ことトーラー公爵とか、ホリーラ王女とか顔出しますが、そんなに出番はないかな。
トーラー公爵はお気に入りなのですが。阿呆なので。でもこの人が真価を発揮するのは、三章が終わった後、つまりこの物語が終わった後なんだよなー。んー。
■第二章開始時期は未定。まだ手付かずなので、二〜三話溜まったらか。
物語はムディカ=トゥカ村に三人が着くところから始まるかと思います。
始まってるのを見つけたら、何となく読んでいただければ、それ以上に嬉しいことはありません。
■では、また。
第二章予告のようなもの
世界は変わらず、しかし全ては変化の始まりを告げていた。
「きりきり吐いてもらおうか、この馬鹿息子」
「てめーに話すことなんざ一つもねえ」
お互い、すがすがしいほど譲歩の姿勢を見せない親子である。
「失礼いたしました。ええと、あの方はですね」
「トーラー公爵」
呟いた言葉に、接待役は目を丸くした。
「既にお会いされてましたか」
「……いえ、初対面です」
「はあ」
腑に落ちないといった顔をしている彼に、アピアは心の中で呆れ顔をして呟く。
間違えようもなく、そっくりですから。
しかし。
何だこれは。
「さて、どいつだ?」
向けられた幾つもの得物が目に入っていないかのごとく、値踏みするように立ち並ぶ人々を眺めつつ、男は平然と歩いてくる。
息が詰まる。膝が震える。
胸が痛い。痛い。
「どうも、お前らしいな」
上げられた指は、真っ直ぐにこちらを指していた。
「人間の、王」
「お前たちにはまだ分かるまい」
彼女はその澄んだ声で囁くようにそう話した。
「だが、きっといずれか分かる。分かってほしいのだ。私が今、何を待っているのかを。どうして待っているのかを。私は彼らを知っている。彼らは私を覚えてはいない。だが、覚えていなくとも、知っている」
「彼らは敵ではないのですか」
問うと、彼女はかぶりを振ってみせた。
「ならば、何なのですか」
再びの問いに、返ってきた呟きを忘れない。
「ああ、彼らはそう……人間の王なのだ」
彼女はきっと、もう狂ってしまっている。
そこは神の旅の終焉の地。
Southward 第二章
そのうち連載開始
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