ショウネンオウジャカン

最後から二番目の邪魔物 流山児★事務所

観劇日 2002.04.06M&07M 名古屋 東文化小劇場

作:佃典彦 演出:天野天街

++CAST++
 ひきこもり男…………………若杉宏二
 元妻の男・デカC……………水谷ノブ
 宗教団体の男・デカB………栗原茂
 パジャマ男・デカ長…………流山児祥
 数少ない友人の男・デカA…イワヲ
 臨床心理士の男・赤い男……さとうこうじ
 その見習いの男・青い男……稲増文
 中北薬品の男・歯医者A……甲津拓平
 富士薬品の男・歯医者B……谷宗和
 常磐薬品の男・歯医者C……関根靖晃
 冷蔵庫の男・母………………篠田エイジ
 吊された男・父………………上田和弘
 竜巻親方・デカD……………蒲公仁
 力士……………………………津村知与支・神田剛・河崎耕士・中村公彦

++STAFF++
 美術………田岡一遠
 照明………小木曽千倉
 音響………戸崎数子
 映像………大月未知也
 音楽………珠水
 振付………夕沈
 舞台監督…岡島哲也
 演出助手…畝部七歩
 舞監助手…猪瀬明美
 衣装………斎藤千晶
 小道具……矢野裕美
 宣伝美術…アマノテンガイ
 制作………米山恭子

 B級遊撃隊・佃作、少年王者舘・天野演出、流山児★事務所出演の三者融合企画公演。主催は流山児です。

◆好きなシーン
 ダンスはなんかすごいというか。
 薬屋三人の永久ループ真似するなツッコミメガネ飛ばしはとても愉快。メガネがずれてるのが。
 押入の転換が好きで開かないかと待っていた私。
 あと冷蔵庫&ハンガーの男達が出てきてこたつの上囲まれ掛け合いシーン、でもこれ好きなの王者舘テイストだからだろうと思った。なんか私の中ではこのシーンが一番王者舘のイメージに近いんだな。
 首つりされた体がだんだん異物感がなくなってきて、オブジェのような無機物に見えてきたのが面 白かった。

(2002.04.06記す)

◆アフタートーク

 本当は佃さんが出演するはずだったが、急遽ダメとのことで、はせさん@ジャブジャブが引っぱり出された名古屋のトークです。 思い出せる事柄列挙(ページの性質上王者舘関係優先)。
□世代のお話
 天野さんとはせさんが同年齢とか、80年代に双方の劇団が結成されているとか、佃さんはもうちょい下とか、小劇場ブームとか、最後の方になって80年代芝居は文学に反発して漫画で90年代は文学に揺り戻したとかの流山児さんの話とかそのような話。
□小屋のお話
 今回東文化小劇場というプロセニアムで固定座席で新しい(出来て半年)小屋だったこともあって、舞台と客席の空気が分離しているのではという話。 確かに七ツでやったら客席も舞台もぎゅうぎゅうしているという、違った感じになったでしょうな(名大新生とバッティングしているので、とれなかったのでしょう)。 文化小劇場でこんな狭苦しいようなセットでもいいんだあとはせさん。客席から舞台を「ノゾいて」いるような感じで良いのではと天野さん。
 ちなみに東文化小劇場は傾斜きつくて、観る側としてはかなり良い感じの劇場。
□天野演出の話
 台本を全員で一行ずつ役関係なしに全員順番で読んでいくのが新鮮だったと流山児さん、同意はせさん、最初は違和感を感じたけどそれでもその役の本質が浮き上がってくるようなとトーク。特に意味はなく時間つぶしと天野さん返答。
 台本をそのままやると1時間20分、出来上がりは1時間40分、差の20分がアレンジとのこと。台本のアレンジが今回は優しかったと独白はせさん、これとジャブ合同公演は作り方が違うとフォロー天野さん。あの時はどうせコラージュされるんだからと、短い話をたくさん書いたが、慣れてなくて台本遅れて大変だったと、逆は絶対できないと皆さん苦笑。練習の話でも、佃さんの台本の上がりは大変早い、それに比べて天野さんは……と定番ツッコミ入る。
 東京楽にてラスト一歩手前の流山児さん「本日はどうもありがとうございました」シーン天野さん思いついて入れるも、お客さんに出とちりしたと間違えられたと笑い話。確かに今回は時間軸がぶっとんでないので、かの挿入はお約束と承知してないと意味不明で分からないかも。
□今後の予定
 クレナイダンの演出にかけれる時間は6日とのこと。平気ですかねー。映画の脚本はやはりまだ全然とのこと。平気ですかねー。あとはヤジキタと香ル港。
 あと関係して、OMS閉鎖の話などなど。駆け込みが今激しいらしく。
□質問コーナー
 「電線音頭てなんですか?」の質問に「知らないの?」と流山児さん興味津々。後ろに待機してた役者さんつついて踊らせてみたり。「最初の舟木一夫『修学旅行』も知らないんだ」と続ける流山児さんに「愛知県一宮出身のスターです」と天野さん。後はダンスの作り方実演とか。お相撲さん紙吹雪は一万枚とか。流山児事務所の人達が朝から晩まで切ったとか。

 そんな感じでした。

(2002.04.06記す)

◆アマノシバイ
 自分が天野芝居を観にいく際に何を求めているかを考えると、大きな要素に「見せ物小屋」の感覚があると思う。動機の約48%くらい。
 自分には物語に触れる際にこらえ性のないところが多分にあって、例えば小説だと背景描写 が二頁とか続くと飽きてくるし、芝居だとなんでもない会話が五分も続くと「早くなんか起きないか! 事件! それかこう刺激のある会話!」とか待ち構えてしまう。そういう性分にとって、めまぐるしい天野芝居は大変嬉しい。思考スピードで流れる会話てのはなかなか味わえる機会ないし。ぎちぎち詰まってると色々考えられるし。……いや、本当は考えるというか、まとめる暇なく思考垂れ流しになるのが快感なのかもしれない。という訳でPTA二人がこたつの上で周囲と一斉に会話するシーン、あそこやっぱり大変好きだなあ。

 さて、今回観ていて実感したのは、本当にこの人は人の意識の間隙をつくのが上手いということ。「ありとあらゆるドアや入り口から絶対出てくる! 人!」と構えていても、不意をつかれてしまうのである。例えばそれは壁の穴からの不意打ちだったり、冷蔵庫なんて120%人が出てくるネ!と思っていても、うかうか息つく間のようなところに挿入されてびっくりしてしまう(篠田さんがギチギチに詰まっていたのも原因)。クローゼットだって出てくること前提で皆観ているのに、そして出てきたのに頓狂な吊され方で裏切られる。
 どうやったら人間が騙されるのかよく知っているなあと本当に感心してしまうのだ。
 今回はあまり数多く感じなかったのだが、突如挿入されるイメージシーンなども気持ちを引き締めてくれる。

(2002.04.07記す)

◆六日と七日の話
 七日はメガネの飛びが悪かったり、相撲吹雪が片方落ちなかったり(後で落ちてきたり)して、ちょとキレか悪かったのが残念。その代わり、やや後方で観たせいか、映像は七日の方が綺麗に見えた。ただ、くだんのように装置がのっぺりしておらず、でこぼこ色々ごちゃごちゃ飾りだったために、出ていく映像が分かりにくかったなあと。扉の開け閉めは分かるけど。
 そういや東京最初の方に指摘されていた、後半のゆるみはほぼ感じなかった。たぶんドクウサギ辺りなんだろうけど。
 あと舞台には関係ないけど、七日は年輩の方がやたらと多かった。

(2002.04.07記す)

◆今後
 六日の時点で言ってなかった今後の予定。来年も天野演出を予定しているそう。脚本はスエヒロケイスケ(tsumazuki no ishi) 。スエヒロ脚本は昨年のソウモウシャプロデュース「寝覚町の旦那のオモチャ」のみしか観てませんが、結構好きな本だったので楽しみです。

(2002.04.07記す)

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