王者舘
ショウネンオウジャカン

こくう物語

観劇日 2004.10.21夜&24昼 東京 ザ・スズナリ

原作:鈴木翁二
作・演出:天野天街

++CAST++
 平吉…………夕沈
 かれん………山本亜手子
 ソラノシン…珠水
 クモノシン…白鴎文子
 空……………田村愛
 友……………丹羽純子
 友吉…………日与津十子
 カンナ………雪港
 豆吉…………ひのみもく
 カゲ…………☆之
 九茂右衛門…和倉和樹
 ソラマメ……眞藤ヒロシ
 ヨチダ………蓮子正和
 ヨシダ………虎馬鯨
 吉田…………竹内大介
 ヘイキチ……井村昂

++STAFF++
 舞台美術……水谷雄司
 照明…………小木曽千倉
 音響…………椎名KANS/鎌田千香子/宮袋充弘
 映像…………浜嶋将裕/長田知子/斉藤琢磨/大月未知也
 宣伝美術……アマノテンガイ
 イラスト……鈴木翁二
 ロゴ…………田岡一遠
 作曲…………珠水
 振付監修……夕沈
 衣装…………田村英子
 小道具………田村愛/石丸だいこ/丹羽純子
 舞台監督……蓮子正和
 制作…………西杢比野茉実/PECO/少年王者舘制作部

 少年王者舘本公演vol.29。

◆好きなシーン

 最初の踊りがいつもとちょっと振付の感じが違った気がしたけど、気のせいかな。気のせいですね。
 今回、映像効果の使い方で気に入ったところが幾つもあった。水ぽちゃん、とか、セットを書くシーンとか。しかし何でセットにセットの映像を重ねると、あんなにウソっぽく(ペラペラに)なるんだろう。
 あ、今回、動く穴はなかったですね。障子に大きな穴は空きましたが。ついに障子もペラペラに。
 マッチは強力すぎる小道具だと思う。
 ところで☆之さんは微妙なおいしいポジションにすっかり固定した様子ですが、今後もあの芸風のまま行くのでしょうか?

(2004.10.24記す)

◆物語の関係

 私は「マッチ一本ノ話」は観てないので正確にはわかりませんが、各所の感想を散見するに、どうやらほとんど「マッチ一本ノ話」に『こくう物語』 成分を多めに注入したような構成だったようで。 そのせいか、今回、かなり分かりにくい話になっている気がしました。(以下、区別 のため舞台は「」で、原作漫画は『』でくくります)
 元々、「マッチ一本ノ話」 自体が、『マッチ一本の話』と『白い花(夢の棲む市)』を中心に構成したものらしく。むしろ後者の成分が多そう(と、今回のと当時の感想にて類推)。で、この二つだけならぶつかる部分も少なく、融合もうまくいったかと思いますが、『こくう物語』が入っちゃうと時代も人物も分裂しちゃうようなあ。 「マッチ」自体、元から『こくう』の要素は入っていたとのことですが、メインに出してきちゃうとちょっと。
 確かに「出ていった少年」というモチーフは一貫しているので、それが軸になっているのだけれど、それ以外の軸が弱くて、結果 、求心力も弱くなっていると思いました(「それいゆ」の原爆・自殺やら、「香ル港」の子殺しやらに比べると)。
  ついでに『こくう物語』を読んでいない人は、冒頭のあれだけでは、舞台が旅籠で二人がそこで働いている姉弟だとたぶん分からないような気が。いや、セットに一応書いてあるけど。

 上げた三つ以外にも色々ネタが引用されているのでしょうが、鈴木さんの漫画を全部読んでいる訳ではないので、申し訳ないことながら私には細かく分かりません。 とりあえず分かる範囲でちょっと書いてみる。

  時代 少年が出ていった理由 人物 特徴的な台詞
マッチ一本の話 不明 不明(ハーモニカ吹く少年を訪ねて) 不良少年・薬売り 「怖そうにマッチをする…そんな手もあったっけ」
白い花 戦後 投書欄の少年を訪ねて 高(山)英俊 「寒そうな空と海だったな!」
こくう物語 江戸〜明治? いたずらをして逃避(武者修行・海) 平吉・かれん・九茂右衛門・ともきち 「一期一会の空の下…」「ガイコツさん…」etc.

 この三つが入り混じり。
 で、 漫画に出てきた台詞が随所に挿入されるので、それが余計混乱の元のような。天野言葉と鈴木言葉、立ち位 置がごく近いところにあるといえども、やっぱり別は別な訳で。
 うーん、前回の「マッチ」観て比較してみたい。 でもまあビデオとかは出ないでしょうね、やっぱ。

(2004.10.24記す)

◆よしなしごと

 今回は初日が台風、土曜が地震、とハプニングが多そうな中、本当、大変だったろうなあ。後者は直接かち合わなかったと思うけど、前者はちょうど直撃な時間帯……。
 楽日、丹羽さん左手人差し指、包帯で固定してましたね。しかし怪我率高い……。ハードだなあ。

(2004.10.24記す)

△王者舘index