王者舘
ショウネンオウジャカン

香ル港

観劇日 2002.09.04夜 名古屋 七ツ寺共同スタジオ
    2002.09.11夜 東京 ザ・スズナリ
    2002.09.22昼&23昼[大楽] 大阪 OMS

作・演出:天野天街

++CAST++
 正太郎……夕沈
 夕目………山本亜手子
 比売………白鴎文子
 吉田………杉浦胎兒
      日暮玩具(tsumazuki no ishi)※ダブルキャスト
 ヨチダ……虎馬鯨
 よしだ……篠田エイジ
 yoshida…井村昂
 三郎………蓮子正和
 次郎………永野昌也(劇団クセックACT)
 ゆうか……日与津十子
 なつ………田村愛
 ハル………黒宮万里
 なみ………和田裕希子
 空…………ヨコヤマ茂実(てんぷくプロ)
 タロウ……眞藤ヒロシ
 (看板のオトコ……とろろ<名古屋>)

++STAFF++
 舞台美術…水谷雄司
 照明………小木曽千倉
 音響………戸崎数子
 映像………浜嶋将裕/大月未知也
 作曲………長谷川久/珠水/戸崎数子/めがた森魯
 衣装………田村英子
 小道具……田村愛
 宣伝美術…天野天街
 ロゴ………田岡一遠
 制作………少年王者舘制作部/西杢比野芙実/荻原恭子/白亜

 少年王者舘本公演vol.27。

◆好きなシーン

 ラスト近く、行李の蓋が掲げられるシーン。
 容赦なくお子様隊にガムを口に押し込むお二人。というか、この二人はおいしい役柄だなあ。
 あとちゃぶ台争奪シーン、杉浦さんの笑顔がたまらない。 それとしおごはん。いつまで降ってるか気になった……。
 窓の向こうのオレンジの灯り。
 終の横移動ダンス、大好きなんだけれどああ終わりなんだなあと思うと淋しい。

(2002.09.24記す)

◆相似と差異

 もちろんコンデンスでぶっ転んだ私は初演は見ている訳もないし、比較もできかねますが、前半はともかくとして、後半は「パウダア」を彷彿とさせるシーンが多かったですな。帰り道、後ろを歩いている人もそういう話をしていたみたい(聞き取れた切れ切れの単語から類推)。構成は単にパターンなんでしょうけど、全員で光の下、手かざしをするシーンとかが特に。あと夕沈さん主導で、皆が一つに合わさっていくダンスは「コンデンス」彷彿。
 とはいっても、芝居全体から受ける印象というのは、その二作とは違うものなんですけどもね。「パウダア」ほど父とのつながりを感じず全員が渾然としているように思えるし、「コンデンス」ほどせっぱつまった感じはしない。この芝居は全体的にトーンが優しい印象があった。ひとりが激しく「お前はここにいない」と責められるシーンが少なかったためだろうと思う。自分の存在のいる/いないよりは、自らの立ち位 置のある/ないのやりとりの方が強かったからかも。
 それは「海」という道具のせいかもしれない、とも思う。泡と共に静かに沈んでいくような。

(2002.09.04記す)

◆ヤマトミナト

 「星ノ天狗」が山へ登る話で、こちらが山から海へと下る話、と対応してるということでよいんですよね。
 基本的に「山」と「薬」やら「息苦しさ」やらの死の匂いから連想するものとなると「結核療養所」で、そこへ「行く(でも迷う)」というのも、そこから「海へ降りてくる(しかし結局また登っている)」というのも感触としてはあまり変わらないなあと思ったりもしますが、そういえば民俗学の基本として山から下りてくるのは神様ですね。海から来るのは漂着神。とか言ってみたけれど、正直日本の神様はありとあらゆるところにいるのでいくらでもこういうこじつけは可能だから意味ないといえば意味ない話。行李と子売りとそれに伴う港のイメージの妄想とか、考えると楽しいので考えるけど。
 しかし赤痢かあ……。

 追加して考える。
 文字遊びのところは、し(死)→じお(GEO・塩・潮・CO→息)→らじお→5じ(誤字?はないか)で、ようやくラジオがla GEOであることに気づいた自分。そうかそうか、だから色んな作品でラジオの中に全部が詰まってるんだ。
 あとタロウがお子様隊に聞く、玄関の戸・表札・頭が組み合うのか合わないのかずっと考え中。いや、パウダアのパイン・ドライミルク・箱みたいにさ。

(2002.09.07追加)

◆役割

 今回、役割の要素がはっきり分かれている感じでその辺りは分かりやすかった。

○私の頭の中の王者舘役割要素表

勝手な名称立ち位置よくやる役者今回
少年の庇護と殺害井村井村・篠田
謎のおじさん得体が知れない杉浦杉浦・虎馬
謎の二人組基本的に見えない存在カナタニ田村・黒宮
見渡す人ナビゲーター中村眞藤
少年中心夕沈・松宮夕沈
少年を待つ山本山本・白鴎
お子様隊五人組色々蓮子・永野・日与津・和田・ヨコヤマ

※表の上下はよく混じったりする。
 そういえば、父が進んでジジイになると少年と混じるよね。

(2002.09.05記す)

◆周波数みたいなもん

 なんというか今回で確信したのだけど、自分にとってKudanは単純な面白さで、本公演は心地良さが先に来るらしい。大人数の高い声でどざーっと台詞がくるのは気持ちいい。だから今回は開演前にすでに気持ちいいということになる。うーん。
 たぶん本公演は何回見ても飽きないだろうとも思う。それは作風の、はじまらないしはじまってるしおわらないしおわらない、といった一つのドラマが消費されて終了、というものがないリピート感にもあるだろうし、ただ単純に本公演の持つ周波数が自分の周波数に合う部分が大きいからだろうとも思う。
 あ、でもやっぱりギャグの威力は落ちるな。でも何度見ても面白いのもあるけど(役者のキャラによるところが大きいのかな、そういうのは)。しかしなんで怪しいおじさんが子供をさらうシーンはいつ見ても面 白いんだろう、いつでもどの公演でも。

(2002.09.07記す)

◆スズナリ

 前回までのあらすじ。突如東京出張を命じられた私。
 ああなんとおそろしいぐうぜんかそのひはとうきょうしょにちではないですか。
 (ここで何が起こったのか自明すぎるので中略)
 まあスズナリ一度見たかったしね。大阪は元から行くつもりだったのでこれで三都市制覇だ。わーいわーいわーいでいいのだろうか我ながら疑問。
 スズナリは涼しかったです。でもハード設備面では七ツ、スズナリ、OMSで七ツが一番落ちると思うけど、間尺とかは七ツが好きかな。あと火事になったら一番簡単に逃げれそうなところとか。すぐ外だし。

 さて、見直してみた&共通の台詞が結構ある「星ノ天狗」を読み直してみたら、上で書いてることかなり間違えていること発見。5時だと思ってたら「うじ」でやんの。うじで塩ごはんにつながるんですね。 あと赤痢って聞き取ってたのですが、「テキリ」って言ってるように聞こえる……次が「わっぱ」。うーん、手切り? 違うか。
 追加としては、映像なんかは分かりやすく増えてましたね。

 そういえば、来夏公演&映画のお手伝い募集アンケートが入っておりましたが、話のタイミング的にたぶん無理だったのだろうと推測するも、名古屋での手伝いなのに名古屋で入ってなかったのは。ということでお手伝いボランティア募集されてました>名古屋の方

(2002.09.12記す)

◆OMS一日目 9/22

 という訳で続いて大阪。楽前と楽の二本立てであります。OMS訪問は二回目にして最後だなあ、たぶん。
 しょっぱなの予告編?でいきなりの衝撃。杉浦さんヒゲ生えとるー!! いやそんだけなんですが。台詞の唱和はやはり大阪のが綺麗だなあ。
 東京で骨外してしまったらしい眞藤さん、上着の中で腕固定してフル出演。踊りも。バランスとか狂うだろうに、大変だなあ。ボール投げのシーンとその後が一番大変そうだった。ボーリング玉になっている青玉はなんかちょっと可愛かったけど。
 演出に関しては、前半部公演にはなかったものがちらほら。映像は結構増えてましたね。中でも気に入ったのは「遊ぼうね」「一緒にね」のとこで扉の向こうに灯りがついてシルエットが横切るところ。扉の向こうの灯り、しかもオレンジ色したやつが好きだ。異界って感じがする。だから窓の向こうの花火も好き。ちらちらしてて。そういえば電球点くところ、まとわりつく蛾は仕込みかそうでないのか気になっていたのですが、仕掛けの様子。ラストのダンスに点く時はいつも飛んでない。
 
 仕掛けといえば、山本さんの赤い玉の仕掛けが結局最後まで分からなくて悔しげな私。
 あ、名古屋に続いて帽子ぶつかりました。裏にイニシャルが書いてあって、一応専用帽子が決まってるんだと思いました。ぶつかったのが誰のかは確認しなかったけど。

 公演後には海遊館に行って、海の底擬似体験してみました。カメの水槽の前を通る皆が「竜宮」「竜宮」と言うのがなんか面白かった。すりこまれてるな、日本人。

(2002.09.24記す)

◆OMS二日目 9/23楽

 のこのこ二日目。本日は午前中に国立民族学博物館に行って衝撃を受けてきたり。大阪に行った際には必ず通うところになりそうな予感。

 本日は日暮さんデー。東京での日暮さんにとっての初日に拝見して以来ですが、かなりこなれてきてましたね。
 さて大阪で初めて対面したご無体なシーン、それは永野さんのジュース噴射。しかも昨日はまだお茶でマシな方だったのに、今日は乳酸菌飲料系とオレンジ色した液体、キャロットジュースかオレンジジュースか?(甘い匂いしてた) ベタベタして気持ち悪いだろうなあ、あれ。バカ休み休みもちゃぶ台争奪もえらく激しくなってたし(でも楽より昨日の方が両方激しかったな)。今回はお子様五人組が体力的にもギャグ的にもえらく辛そうで心からお疲れ様です。大変面白かったです。
 ところでトラブルなんだろうけども、横移動ダンスの時、白鴎さんの赤い靴が片方脱げてしまって扉のちょうど前に蹴られてぽつんとあったのがなかなか面白かったり。赤い靴というのはもちろん「いっちゃった女の子」の象徴ですよね。靴履いてるのは父二人と白鴎さんのみで。横移動ダンスといえば、振りが増えてましたな。

 そして最後。役者紹介の後、カットバックの灯りと音楽になり、天野さんのOMS追悼語り。そして役者さんたちが客席へとテープを投げ、王者舘OMS最後の公演は終了となりました。

(2002.09.24記す)

◆モチーフのこと

 大阪に行く前にU5さんからヒントいただいたおかげで、コアモチーフの一つが分かってすっきりいたしました。感謝。何かというと、テキリとかワッパとかカムザリとかそこらへんのことで、それはつまりサンカを暗示する言葉な訳で。言われてみれば、降りてくる山の民という概念ならサンカが出てこなければおかしいというか、何というか。思いついたらそうだよそうだよ、そりゃ当たり前だよ、というような気持ちであり、しかしてすっきり。
 一応知らない人にサンカが何かというと漂泊する山の民で、この辺りに詳しいです。ちょっとロマンチックに過ぎる部分が多いですけど→魂よ蘇れ サンカ(山窩)への想い

追記:以下、王者舘とは関係ない話。正直、このロマンチシズムがどうもサンカ関係の興味を私から殺ぐ部分があります。柳田が初期に触れたのに後期になって全く触れなくなったとか、意図的な情報隠しが行われたとかのその辺りの関係で、どうも理想化されているきらいが強く。創作物の中のサンカは別に良いのですけどね、フィクションだから。

(2002.09.24記す)

◆濃縮立体大模型

 せっかくなので作ってみました。

 かなり雑ですが、写真では分かりにくいだろうと思っている今日この頃です。さらに絶対間違っている箇所が幾つかありますが、組立方などの説明が皆無なために、見よう見まねで作ってるのでそれも仕方あるまいと勝手に納得してみます。
 いや、眺めた瞬間に、そんなにセットを詳細に覚えている訳ではないので「なぜ窓枠が窓よりかなりでかいのだろう……」とか悩んだし。再見時、セット観察しなおして納得したり。
 そんな感じで。
 さて問題はこれを潰さずに保管できる場所がなさそうなことです。むう。

(2002..10.14記す)

◆シーン表

 大阪一回目を観た後に思い返してメモして二回目で確認してみたりしたもの。思い出すよすがのためにここに写 しておきます。野暮だと思う人は見ないでください。シーンは勝手に印象で分けたもんで、タイトルは自分で勝手につけたもんです。
NO タイトル NO タイトル NO タイトル
0 予告編 12 迷子の少女とセミ 24 待つ父二人
1 手紙 13

ダンス(渚のうわさ)

25 ハエ
2 ふもとの町へ 14 旅団登場、ガム進み 26 ちゃぶ台争奪
3 頂上、積荷確認 15 海って何? 27 塩ごはん
4 ラジオ切る二人組 16 カメをいじめる 28 ラジオ
5 青い玉欲しいな 17 旅団、道を尋ねる(外) 29 手紙
6 旅団、道を尋ねる(中) 18 ヨシダ怒鳴り込み 30 行李(いっちゃう)
7 ヨシダ引越 19 もしもしカメよ 31 行こな
8 ペットボトル父 20 キャバレー竜宮 32 横移動ダンス
9 チャンバラ父 21 じじいヨシダ 33 融合ダンス
10 玉とりあっこ 22 タロウ乱入 34 あのキヨクだ
11 タロウ登場 23 麦わらダンス 35 出航

(2002.10.14記す)

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