ショウネンオウジャカン

真夜中の弥次さん喜多さん

観劇日 2002.07.17夜&07.21昼 名古屋 七ツ寺共同スタジオ
観劇日(アジアバージョン再演) 2003.05.18昼 名古屋 七ツ寺共同スタジオ

原作:しりあがり寿 脚本・演出:天野天街

++CAST++

 小熊ヒデジ(てんぷくプロ)
 寺十吾(tsumazuki no ishi)

++STAFF++

 舞台美術…田岡一遠
 大道具……小森祐美伽
 小道具……丹羽純子/松宮陽子/田村愛
 作曲………珠水
 音響………椎名KANS/戸崎数子
 照明………小木曽千倉
 映像………浜嶋将裕/大月未知也
 衣装………田村英子
 振付………夕沈
 舞台監督…井村昴
 舞監助手…篠田エイジ
 宣伝美術…しりあがり寿(イラスト)/アマノテンガイ(デザイン)
 情宣………虎馬鯨
 制作………山崎のりあき/カシワナオミ/白鴎文子/小熊秀司

 「くだんの件」に続く、少年王者舘KUDAN Project第二弾。
 2003年にはアジアバージョンとして再演、中国ツアー公演予定。

◆好きなシーン

 とりあえず雑な走馬燈。
 途中の宿場の文字の中、二人が走っていくところ。
 弥次さんがクスリをやっていると白状する、繰り返しから緊張への一瞬の移行。
 MEANMEANと意味も鳴く。これって台詞としては今までも台本では表記されていたと思うのですけど、ちゃんと見えるようになっていたのは今回が初めてなのでは。観てないヤツですでにやっていたらすみません。
 最初の「終」の文字の時にやたら心拍数が上がってしまってドキドキしたのですが(二回目なんで展開は分かっているのに)、これは「どうして王者舘の作品はナツかしくセツないのか?」と最近考えていたことに当てはまるんだろうな、と勝手に納得したりしました。↑はそのうち雑文にでも書きます。

(2002.07.21追加)

◆初日観劇

 ということで、やはりファンになったのなら一度は経験しておかなくてはなるまい!というある種間違った心意気で行ってきました初日観劇。イェイ。
 聞きしに劣らない(勝るとは言えないので)感じでした。イェイ。
 三十分押しだし、台詞入ってない(プロンプターさんの声が聞こえる)し、仕掛けがうまくいかないところ多数だし、なんか踊りもちぐはぐだし、テンポ悪いので二時間かかってるし。イェイ。
 分かってて行ったので後半にも一度観てからちゃんとした感想書きます。イェイ。
 きっと一時間四十分くらいに縮まっていることでしょう。イェイ。
 以下重大なネタバレなので、自己責任で反転してみること→→ 一言で言えば「YAJIKITA〜くだんの件」でしたねー。すっごく喜多さんが死ななさそうなのが笑った。しかしこれだと「くだん」と比べられるだろうなあ。でもそれは天野芝居の昔から言われてることだから、今更言うべきことでもないか、とは思ったりもするけど、でも役者さんが入れ替わったりしている本公演と違って、条件が一緒てのはきついかも。かかっている時間がまったく違う点も(「くだん」が完成度高いのは当然だもの)。
 ところで私は芝居化すると知ってから原作として読んだので、「真夜中の〜」の「祭だ!」のところが芝居でもクライマックスに来るかなーとちょっと期待してたけどなかったのでちょっと残念だった。と勝手な期待を述べてみる。

(2002.07.17記す)

◆やじきたっぽさとくだんぽさ

 ちゃんと仕上がったものをみると、最初はどうしても目についた「くだん」との共通点・異本的な部分が薄れたように思えました。単に二回目だからかもしれませんが。
 ただ、どうしても弥次さん喜多さんのキャラクターが、しりあがり弥次喜多の位置ではなく、タロウとヒトシ(というか役者二人のデフォルト関係性か)の位置に近いなあと思えてしまいます。小熊さんが終始寺十さんを振り回す、という意味で。原作の場合、弥次さんが独善的に動いて、その影でふらりと喜多さんがあちらに行ってしまう、という感じなんで。小熊喜多はパワフルすぎるなーと。 ずっとアッパー系にキメている。

 今回の出前、うどんは毎回同タイミングなため、裏で先に受け取っといてツユとかある程度捨ててあるんだろうな、と邪推。 そうでないとツユ飲み干すの大変だろうなと。

(2002.07.21記す)

◆言葉遊びと原作遊び

 うどんは伊勢だから伊勢うどんから? でも伊勢うどんの場合ツユは飲めないなあ、と馬鹿考え。噺家→鼻ウドンですな。 一回目噺家がハナ肇に聞こえました。幻聴でした。
 照明→塩梅→梅・マ(マ・逝く?)・舌→埋めました、故に喜多さんのみが地下から出現し、弥次さんは生き返りの際に地下からは戻ってこないんだなあ、と勝手に納得。んで、どちらが死んでいるのか、どちらも死んでいるのかはやはり判然としない訳ですが、弥次さんの女房は弥次さんに殺されてる示唆もありましたね(三途の川の向こうでおフサに会っている、ギタギタに切った)。私は小説版の真夜中の弥次喜多は読んでないのですが、前、弥次喜多関係で 検索かけた時に、そのような描写があるような話を目にした覚えがあるという曖昧な記憶で納得しているのですが、小説読めば解決する悩みなのでどうしよう。と、思ったりしています。もう誰のドクロか分かんねえや、と言ってみたりする。買うのを決めるまで保留。
 そして買って読んだので疑問解明。やっぱり殺してたのは記憶違いじゃなかったと。包丁で刺し殺してたし、結構小説からのネタって多かったんだなあと(特に序盤)。

 続いて分かった限りの原作ネタとその出典。小説を追加。

出発までのやりとり>>>>小説「旅のはじまり」
紅牛お伊勢様ツアー>>>>小説「旅のはじまり」、Deep(1)「紅牛の宿」
カラオケ>>>>真夜中(1)「箱根之宿 其ノ一」、「ねえ、連れてって」という歌詞は小説「唄の宿」からかな?
でたらめ節>>>>Deep(1)「白眉様」
混じってカマボコ>>>> 真夜中(1)「小田原之宿 其ノ一」
元に戻る畳>>>>Deep(1)「ふりだしの畳」(←これは絶対ループでやると思ってた。一番それらしい話だと)
二人の手がつながり混じる>>>>真夜中(2) 「駿府之宿 其ノ三」
タンゴ>>>>真夜中(2)「岡部之宿 其ノ十」
↑♪なにもかもがなんだかもう>>>>小説「唄の宿」

 そういやへっぴょん宿が実に見たかったです。弥次さんの走馬燈辺りで。
 あと、書くためにチェックしなおしててあの切り絵ぞろぞろはお伊勢参りの行列だったんかなと今気づきました。

(2002.07.30追加)

◆最後に

 大事なことを書き忘れてました。
 とても面白かったです。まる。

(2002.07.21記す)

◆再演において

 という訳で再演にてまた観ました。ほとんど初演と脚本は変わっていないと思うけど、大きな変更点は最後の暗闇のシーンですね。スッポン→雨で最初のシーンにループするし、切ないし面 白い。かなり入って引き締まった良い挿入だと思う。なんや知りませんが、寝る直前にスッポン思い出し笑いしちゃったじゃないか。
 あと「第一話 了」「つづく」の字幕。第二話楽しみにしてます! ……ってそういう訳でもないかも。

 演出としては、三途の川のおフサ発見のところがより分かりやすくなっているような。
 あ、それとこれは記憶間違いかもしれませんが「こっからだ、スピード上げるぜ」の後(二回目)、初演の掛け合いがかなり早くやられていた覚えがあって、今回遅くてスピード感が減った気が。 うーん、でもやっぱりこれは記憶の捏造かも。微妙(自分の記憶が)。

 しかし見返してみると、原作のネタを随所に少しずつ使ってあるわ、初っ端の何でもない会話にキーワードをうまく配置してあるわで、細かい技に脱帽。もちろん演出の小技は言うにおよばず。

(2003.05.19記す)