グラドネーラ事典
[民俗]


衣服

温暖な気候を一年中保つグラドネーラにおいて、衣服の重要性はさほど高くない。布を一、二枚羽織れば保温としては充分な効果があるからである。
基本的に植物から出来る布は安価で厚く、動物や昆虫由来の布は稀少で高価、そして薄いものとなる。
従って、薄物を何枚も重ねて着用できるのは裕福な証である。
また、貴金属も採れる場所が限られているため、全般的に高価である。

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飲酒習慣

水が比較的豊富なグラドネーラにおいて、飲酒はやや特別な行為とされ、未成年の飲酒は禁止されている。
通常は果実酒が飲まれるが、祭礼などの際は無色透明の蒸留酒が供される。

【関連】 果実酒 蒸留酒

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結婚

結婚は成人して初めて許可される。
神殿にてアネキウスの前で宣言されなかった結婚は不当であり無効とされるため、成人前の結婚は不可能である(自分が属さない土地で年齢をごまかせば可能ではあるが、アネキウスは全てを見通すともされている)。
ただし、特例として未成年のうちに王位継承をした王族は結婚の資格も得る。その場合でも十歳以下では認められないようだ。
結婚をする際には、苗字の本家名と副家名を決定しないとならないが、これに関して男女でどちらを優先すべきかという風潮はない。
単純に両家の力関係で決まるのがほとんどである。

【関連】 姓名の規則 年齢

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グラドネーラの暦は一年が六月、一月が六週間、一週間が十日にて進行する。
月・週の名前は、空の月の色に基づき、白緑青赤黄黒の順で表記される。
例えば、一月四週目三日目の場合は、白の月赤の週三日となり、一般的には白赤三日と呼ばれる。

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住居

グラドネーラでは大きな気温の変化がないため、住居の造りは大体の場所で同じものとなる。
基本は木造一階建てで、都市となると二階建ても増える。ガラスがないため、窓には格子を入れたり、布を張って目隠しにしたりする。
山脈近辺でしか採取できない石での建造は裕福な証である。

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出産

妊娠期間は概ね一年ほどである。「産みの月」「産みの篭り」と呼ばれる。
胎児は母体にて育まれるのであるが、しかしその育成には母親のみが携わるのではない。妊娠期間中は父親も弱体化し、全身倦怠や頭痛、発熱などが主な症状となって現れる。これは「産みの繋がり」と呼ばれ、胎児の父親であることの証である。妊娠期間中に、父親が死去するようなことがあった時、死産の確率が高まり、無事に出産にたどり着いたとしても、虚弱児になりやすい。
この現象により、父親もまた己の子という認識を抱きやすくはあるものの、体調の不良が軽い場合もあり、逆にあらぬ疑いを呼ぶ種になることもある。また、複数の子を同時に成すことは困難ではあるが、不可能ではない。もっとも、常人では耐え切れないことは確実であるため、この出産形態がグラドネーラに一夫一妻制を自然と作り上げている。

【関連】 年齢 結婚

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成人礼

十五を数える年、白白一日を迎えると、子供は成人として認められ、結婚や飲酒などが許される。
三足族において、己の性別を決定しなければならない成人の儀礼は大変重要な意味を持つ。
新成人は神殿に赴き、祈りと共に洗礼を受け、己の性別を神へと誓う。その後、約一ヶ月から二ヶ月をかけて体が分化していくのである。
性別固定するのが大抵は緑の月であるため、俗語では固定したての新成人(転じて若者、未熟者)を緑っ子などと呼ぶことがある。

【関連】 年齢 結婚

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姓名の規則

グラドネーラに住まう人間は、通常三つの名で構成された名を持っている。その三つは以下の意味を有す。

名前=副家名=本家名

名前
個人を識別するためのものであり、他者と被らないようにしてつけられる。万一同名の者が出会った際には、その名を賭けて決闘が行われてもおかしくない。従い、重複が起きないように意味のない音で名前をつける場合が多い。
また、その唯一性は過去の人物についても及び、同名の人物が存在していた場合は、生まれ変わりとして扱う事例がある(偉人の名をつけるとその名に滅ぼされるという言い伝えがあるため、わざと被らせる例も少ない)。
副家名
未婚の場合は親の名字をそのまま引き継ぎ、既婚の場合は自分もしくは配偶者の家入りした方の本家名を使用する。
即ち、A=B=CとD=E=Fの婚姻の際、本家名をCとするならば、A=F=CとD=F=Cと夫婦は名を替え、その間に出来た子供はG=F=Cと名乗る。
本家名
家とその者の血統を意味する。○○家という言い方で用いられるのはここである。

これ以外に、王家の直系のみが副家名と本家名の間に王国名を入れて名乗る風習がある。
また、孤児で家名が判明しない者については、アーネという副家名および出身地名を本家名として用いるのが一般である。アーネはアネキウスに捧げられた子という意味を有する。

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続柄

成人するまで性別を有しない三足族の続柄の男女の区別は、未分化の時より必要なもの/成人後に発生するもの、で大体使い分けがされる。
例えば、兄/弟は男女関係なく使われる。姉/妹という表現は存在しない。子どもは、後にどの性別を選ぼうが息子である。
父/母は成人後に初めて発生する呼び名であり、機能が違うために区別される。 (問題は未成年の叔父/叔母の扱いである。実際には性区別のない呼び名が使われているが、無駄に煩雑さを増すことになるため、叔父にて統一する)

【関連】 三足族

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鳥文

徒歩が効率的な移動手段であるグラドネーラにおいて、最も速い連絡手段は鳥の足に文をくくりつけて飛ばす、鳥文である。
利用する場合は、鳥文屋へ出向き、料金を払ってその方面へと向かう鳥を借りる。大きな町宛ならば、その町の鳥文屋へ向かう鳥がいる確率が高いが、小さな町や村へ向けた文の場合は、一旦近郊の大きな町に集められ、そこから再び鳥を飛ばすか、もしくは人が配達するかになることが多い。

料金は、距離や手間、そして相手の受け取り方法によって変化する。
受け取り方の種類は大体以下の三つである。
・鳥文の本文を一定期間相手先の鳥文屋に掲示する。
・文は鳥文屋に留めおき、宛名を掲示する。
・宛先の住所まで届ける。
(雑貨屋が鳥文屋を兼ねるような小さな村などでは、一番目二番目を頼んでも勝手に配達してくれたりする)

鳥文は便利ではあるが、どうしても秘匿性は低いので、本当に重要な文書は人間の使節に届けさせるものである。

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年齢

成人
十五。飲酒や結婚などもこの年から許される。
結婚
十代後半から二十代前半が適齢。成人前の結婚は許されない。ただし、王族の特例(成人前の継承など)で十歳より可能な場合もある。
平均寿命
五十から六十歳前後。ちなみに幼児の死亡率はさほど高くない。

グラドネーラにおいては、年齢は数え年でカウントされる。つまり、一年が過ぎた時に全員が一斉に一つ年を重ねるのである。従って、誕生日はさほど重要ではない。

【関連】 アネキウス暦 飲酒習慣